沖縄の人の優しさに救われた
「グリーフケア」で恩返し

大切な人が天に旅立つ出棺の日。その日はきれいな顔で旅立たせたいーという遺族の願いをかなえているのが、県内唯一の遺体管理会社「おもかげ」浦添市の社長、嘉陽果林さんだ。

時間によって変化する遺体の腐敗を防ぐ技術や、顔面の腫瘍を除去して人工皮膚で修復する技術も持つ。

病気や事故で変化した遺体の顔を元気な頃の顔に近づける。

「最後まで女性はかわいくきれいに。男性は威
厳があり穏やかに」をモットーに遺体に向き合う。

2013年に沖縄に移住。これまで沖縄の人の優
しさに何度も救われた。沖縄のことを深く知ろうと歴史を学んだ。沖縄戦では亡くなった場所が分からず、大切な人の弔いができなか
った例が多いこと。今の沖縄の高齢者は戦場を生き抜いて、戦後の復興を支えた人たちであることを知った。「この人たちのために私は何ができるだろうか」

納棺会社で納棺師をしていたが、メークをしたそのときだけではなく、出棺の日まで故人の状態に責任を持ちたい、遺族と故人が触れ合える環境を作ってあげたいーと17年に独立し、会
社を立ち上げた。

依頼があった日から出棺日の朝まで約1週間。毎日、遺体のメーク直しに訪れる。遺族は故人の人となりや、温かなエピソードを話してくれる。
「出棺までの安置期間に故人の隣で寄
り添うことや、故人の顔の穏やかさで遺族はかなり救われる」。多くの旅立ちの場面に立ち会ってきた実感だ。

「私はご遺体を通してご遺族のグリーフケアをしている。だから、ご遺族の希望を叶えたい」。

故人の顔をふっくらさせる、むくみをとるなどの基本的なことから、要望があれば、髪を染めたり、遺族と一緒にネイルを塗ったりもする。
今年は大人よりも変化が早い子どもの遺体管理や家族のケアにも取り組む予定だ。特に亡くなった子どものきょうだい児のケアに力を入れたいと考えている。

「この子たちは亡くなったきょうだいのことを一生背負って生きていくことになる」。

大切な人を失った悲しみを癒やし、生きる力に
変えていくサポートをしていく。

〜琉球新報新年号より〜