グリーフケア(悲嘆ケア)において、死者の外見にとらわれないことが推奨される理由とは?

それは家族や関係者の心の癒しや死を受け入れるプロセスにおいて、心理的・感情的な影響が大きいためです。

以下にその理由を簡潔に説明します。

1. 感情の固定化を防ぐため


死者の外見に強く焦点を当てると、家族がその姿に執着し、亡魂との別れや現実の受け入れが難しくなる場合があります。

エンバーミングをしていない故人は日々顔が少しずつ変化するものです。

そもそも外見は一時的なものであり、故人の本質や思い出を象徴するものではありません。

グリーフケアでは、故人との関係性や共有した時間、感情的なつながりに焦点を当てることが、悲嘆のプロセスを健全に進める助けとなる、と考えます。

2. 死の現実を受け入れるため

死者の外見にこだわると、家族が「まだ生きているかのような錯覚」に囚われることがあります。
エンバーミングのような遺体を変化させない施し、つまり遺体の保存状態や外見の美化に過度に気を取られると、死という事実を直視するプロセスが遅れる可能性は多いにありえます。
親、子供、兄弟…大切な死者であればあるほど。

グリーフケアを勉強すると「遺族が死を自然なものとして受け入れ、前に進むための支援」と必ずでてきます。

そういう理由があるんですね。

3. 故人の本質を尊重するため

外見は故人の一部に過ぎません。

グリーフケアでは、故人の人生、価値観、愛情、影響力を振り返り、その精神的な遺産に焦点を当てることが推奨されます。外見にとらわれると、故人の本当の意味や存在が薄れてしまう恐れがあります。

故人のその死に姿•見た目は、あなたにとってどのように見えますか?口や目が開いてる、ガリガリだ、浮腫んでる、変色している…可哀想に見えますか。

故人はそのようになりたくてなった訳ではありません。

闘病、事故…そこで見える姿はこのような全ての負が全面に出ているだけで紛れもなく本人です。ゆえに、怖い、変だ、別人だ、と、外見で差別しては絶対にならないのです。

とはいえ、経緯を知らない友人、久しぶりに故人に会いにくる弔問客にも、(勿論、故人の為にも家族の為にも)配慮が必要です。

「闘った勲章だ!」と闘病で変わり果てた故人をそのまま皆様に見せる時代はもう終わりました。

(株)おもかげでは、弔問客皆様が知っているあの日のご本人に少しでも近づけます。

故人に近づいて声をかけて、触れてお別れをしやすくするお手伝いをしております。


日々の自然な変化を受け入れる事、死者の外見にとらわれない事は、家族が故人との精神的なつながりを大切にし、悲嘆を乗り越えて現実を受け入れるために重要です。

(株)おもかげの考えるグリーフケアでは、故人の外見を超えた思い出や愛情、人生の意味に焦点を当て、家族が心の癒しを見つけられるようサポートします。

死者の外見にとらわれず、自然な変化を受け入れるにはその為の環境づくりが最も重要です。また、故人にできる最後の施しはできるだけ家族がしてあげる。それが家族の心の整理(グリーフワーク)にもつながるのではないでしょうか。


故人がどんな姿であっても、今まで通りに話しかけ、接する家族を沢山見て参りました。

それこそまさに家族の無償の愛だと私は感じています。