前編からの続きです^^

引き続き、エンジェルフライトファンの方は 読まないで下さい!!

前編はこちら↓↓

【前編】エンジェルフライト 国際霊柩送還士を観た感想

今回はこの3つの内容を話します。

  • 実際こんな仕事あるのか?
  • ご遺体を扱う人の世間のイメージ、ギャップ。またここに戻されたか…
  • 番外編・ご遺体従事を生業にしている人に
    指輪渡すのはKY。

実際にこんな仕事はあるのか?

国際霊柩送還士 という仕事があるのか?という答えですが、海外での遺体送還手続きする人は実際にいるので確かにいると思います。

あと、私達遺体従事者は名乗ったモノ勝ちなので、「私は国際霊柩送還士です」と言えばそういう仕事になるのではないでしょうか。

余談ですが…実際、私もコロコロ自称を変えています。

納棺師→納棺士→遺体修復復元専門師→ご遺体管理師→ご遺体管理人(←今ここ。しっくり来てるのでこれ以上変えません😉)

しかし。

ドラマでは海外に実際に赴いて、日本へ送還手続きした人が、そのまま羽田空港でメイクや着付けまで携わっているのが、イマイチよくわかりません。

通常、空港で確認のために棺を開ける事はしても、着付けやメイクなどはしないからです。

海外死亡者は、海外の葬儀屋→手続きする人(ここで言う国際霊柩送還士)→地域の葬儀屋に渡ります。

だからメイクをしたりするタイミングは、地域の葬儀屋の納棺師さんになると思います。

現に私が対応した海外のご遺体(アメリカ、ドイツ、中国、ハワイ)はエンバーミングされていた方もそうでない方も、上記のルートで沖縄に戻っていらしてました。

実際そう言った海外死亡のご遺体を取り扱かう、今作のモデルとなった会社があるようです。私は本を読んでないからわかりません。

それがドラマになったのでフィクションがあるでしょうから、さらに真実はわかりません…。

という事で、結論。

例え海外搬送のご遺体でも特別ではなく、地域の葬儀屋さんのメイクスタッフ•納棺師さんが対応していると思われます。

余談ですが…↓↓

このドラマをもっと踏み込むと不思議な点がでてきます。日本人が海外で事故死し、現地でエンバーミングされてない割合(現在海外死亡日本人遺体は高確率でされている。エンバーミングされていたら修復どころか顔が硬すぎて動きもしない)尚且つ顔に外傷をおっている可能性の割合、を考えると、ドラマのような展開はレアケースなのがわかります。あったとしても恐らく年間に数体でしょう。

遺体修復技術は経験値が命です。

国内の通常葬儀のご遺体は担当しないで、海外からの損傷遺体メイク専門で活動してたら、年間に数体しか携わらないと思います。

よって彼らは、技術などほぼないのでは…(本読んでないのでわかりませんが)

ドラマを見て勘違いしないで頂きたいのは、海外のご遺体だから大変、とかではない。

身近な日本のご遺体も死因はさまざま。病院死亡であっても、よっぽど大変です!


ご遺体を扱う人の世間のイメージ、ギャップ。またここに戻されたか…

なぜかご遺体従事者はギャップを求められます。なんで???ミステリアスだったり影がある仕事だからか?漫画の影響か?

社長がヤクザ風だったり姐さんみたいだったり。(普段はこんなだけど、ご遺体系の仕事してるといいたい?)

こんなドラマが出てくるから、世間の私達のイメージが求められすぎていると時々感じる。ドラマだから仕方ないだろうけど、特にギャップなどない、普通人の私みたいな人は、当事者としてちょっとうんざりする。

ドラマの主人公は勿論彼女達ですが、現場の主人公はご遺体で、ご遺族である。それが私達のモットーである事を忘れては絶対にいけないと思っている。


ドラマだから仕方ないけど、もう一つ。

主人公の那美(米倉涼子)の口が悪すぎる!!

ご遺体を見て大袈裟に驚いたり舌打ちをしたりする意味を考えて見た。(トイレットペーパー遺体の時)実際の遺体従事者であれば絶対にこんな表現はしない。

舌打ちとか過剰な驚きは「それほどまでヤバい遺体」感を演出したかったんだと思う。

火サスでよくあるブルーシートの「仏さん」を見た時、刑事が顔をしかめるあのシーンと同じでしょう!(ドラマだから…)

もしかして本ではそういう描写ではなかったかもしれないし、ただ演技指導でそのようにされたのかもしれない。

でも、汚いご遺体に対してあんな風な態度をとるのは、仮に演技であっても、真面目な遺体従事者の私としてはかなり不愉快である。

多くの腐乱遺体は見るに耐えない。ウジ虫が湧き、気持ち悪いし汚いし、悪臭が凄まじい。でも、誰しもが自ら望んでそうなったのではない。

ご遺体の見た目差別は絶対NG。

私達の役目はご遺体の見た目の感想どうこうではなくて、ご遺族がお別れできるお手伝いをするだけである。

それをドラマ内で伝えてくれなかったのは、やはり私としては「あぁ〜やっぱりこの手のドラマはこんなもんだよな」と思ってしまう他ないのである。

番外編・ご遺体従事を生業にしている人に
指輪渡すのはKY。

第一話の最後に那美(米倉涼子)の彼氏?旦那さん?が那美に指輪を渡していた。でも、本気モードの遺体従事者に結婚指輪を渡すのはKYだと思っている。

理由は2つある。

①素手でご遺体のマッサージ対応も多く、指輪が邪魔になる為。

②大人になれずに若くして亡くなった子供さんのご遺族のグリーフケアの為。

本来なら順風満帆に成長して、やがて結婚して幸せになる為の未来が断たれたご遺族にとって、結婚を感じさせるもの(指輪)を見るのが辛いかもしれない。

そう思わせる可能性がそこにはある事を、配慮しなければならない。

1ミリでも可能性があるものを排除して存在する事、それが私達遺体従事者のグリーフケアであると思う。

自身の幸せやリア充を、悲しみの最中の人の前でチラつかせてはいけないと、常に感じている。

気は使いすぎる位が丁度良いのである。

因みに、那美(米倉涼子)はその後、指輪をネックレスにしていた…ここは150点!!(理由は私と同じかわからないですが(^^;)


勝手ながら、総評価。

⭐️最高5つで私評価します。

ドラマ感⭐️⭐️⭐️⭐️(とりあえずお金かかってるから良いドラマなんだと思う)

演技力⭐️⭐️⭐️⭐️(お母さんの演技上手すぎて泣いた!)

ご遺体のリアリティさ⭐️(トイレットペーパー遺体は優しさに溢れてると副音声入れたい)

ご遺族へのグリーフケア度⭐️⭐️(新人、でしゃばりすぎ。家族の事は家族が決めた方が良い。家族なんだから。)

ドラマとしては素晴らしく成り立っていると思います。

遺体従事者としては微妙だと専門的に感じました。(リングや着信アリなどの平成映画よりはご遺体のクオリティは上がっているけど、before 遺体はリアルに忠実ではないし、after遺体は なんでか真っ白だし、よくわかりません。。)

いつかアメリカみたいなご遺体クオリティのドラマでないかなぁ〜^^