私は死んだ人が大好きですが、それと同じ位
「死んだ人とその周りの生きている人(遺体と遺族)」の関係性
が大好きです。
分かりにくいですが、遺体と遺族の間には無償の愛が発生しているからです。
無償の愛、という考えは生体では「親が子に」というのが近いでしょうか。
ご飯作っても何か買っても、その親子が喧嘩したからといって
親が子供に「あんたに使った何年分のこの家計簿につけてある計○○○万円を今すぐ返済して、
尚且つ食事や掃除に費やした時間もお金に変えて今すぐ返してください!」とはあまりならないですよね。
(まぁざっくり数千万円返せ!とかは高校生とか大学生の反抗期の子供に言うかもしれませんが)
何が言いたいかというと
遺体周辺にはその「見返りを求めない愛」が沢山あるのです。
それは死んだものだからやらなくていい、とか明後日燃やしてしまうんだから不要でしょ、という
考えは実際あまりありません。
(当事者であればわかると思います)
殆どの近しい方が、その遺体と一緒に横たわり手を握って涙を流します。
「こんなに冷たくなって」と
冷たくなった手を暖める行為は
一体誰のなんの為に行われてると思いますか?
紛れもなく、「冷たくなって可哀想」と思いを寄せる、ご遺族からご遺体への気持ちがそうさせていると思います。
これが、見返りを求めない愛で
無償の愛だと、私は考えています。
他にも沢山あります。
一番多いのは上記の手、ですが、次に多いのは故人のオムツです。
皆様はご存じ無いと思いますが、実は病院死亡や警察検死にまわされた殆どの方はオムツで帰ってきます。
老若男女関係ありません。
10代の子でも20~40代でも自殺や事故で警察検死に行ったらオムツで自宅に帰ってきます。
私はご遺族にこのオムツについてどう思うかを必ずお伺いしておりますが
9割の方は
「とって欲しい。パンツをはかせてほしい」と言います。
この感情はまさに遺体への無償の愛だと思います。
それは、すぐ火葬するから、既に死んでるから、という「理由」がそこには全くないからです。
あるのは「故人を思う気持ち」しかないと思います。
(わたくしが初めて出会った、無償の愛を形で見た時も ある団地ご夫婦のパンツにまつわる愛でした。
物凄く衝撃的で何年たった今でも鮮明に覚えています。
いつかそのお話を共有したいです)
因みに、無償の愛は死後にばかり発生している事ではありません。
(勿論生前からその愛はあるのでしょうが、わたくしが初めてお会いするのは死後なので、、、、)
その遺体を見たら、遺族から献身的に愛されていたのかなと言うのが分かります。
まさしく「遺体は語る」です!!
沢山有りますが、一つご紹介します。
★★遺体の肌★★
遺体の肌と言うのは、生前の皮膚に刷り込まれた保湿液の量をまさに反映します。
特に高齢女性は肌が弱くて薄いので、毎日~亡くなる直前までご家族が声をかけながら、顔にマッサージクリームや乳液、化粧水を塗ってあげていたら 死後がこれがすぐに分かるんですね。
(毎日の行いになりますが、これは手や足も同じです。)
そのときは必ずご遺族にその旨を伺うと「そうです!!」と言われますが
「母はメイクはあまりしなかったんですが、マッサージが凄く好きで、、、」と 故人様のお話になるんですね。
「でもおばあちゃん、本当にマッサージ好きだったよね」
「そうよーお母さんが行ったらすぐに、今日はマッサージしないのって聞いてきたんだから!」
「えっお母さんにも?!私にもなんだけど・・・」
「そうなの?おばあちゃんは、昔から・・・・」
そこからその場にいらっしゃるお孫さんからご親族が、ワイワイ故人様の生前を笑顔で話し始めます。
私の役割は、グリーフケア、ですから
その場面を作る事がとても重要だと思っています。
(勿論、私にとっても故人の生前のおもかげを知れる良い情報なんですが。)
話しは飛びましたが 一部ご紹介した無償の愛についてはあくまでわたくしの見解です。
でも、ご遺族が故人に生前から施したことはそのまま遺体になったときに現れます。
それは紛れもない事実です!
そして、愛情には男性も女性もありません。遺体のまわりは悲しみよりも愛が溢れていると、わたくしは思います。
時々、こんな風に愛されていた故人がとても羨ましい!!と
思えるような方もいらっしゃるのも事実です(^^)
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